「歴代さん」。

シンプルな一覧表とともに、歴代の◯◯を紹介します。歴史をつくってきたレジェンドへのリスペクトを込めつつ、「そういえば、そうだったかな」と、酒のつまみ程度に愉しんでいただければ嬉しいです。

オカダ・カズチカがSANADAを下してV10達成! 史上3人目、歴代2位タイの二桁防衛記録保持者に!/IGWPヘビー級王座連続防衛記録

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 2月11日に大阪府立体育会館エディオンアリーナ)で行われたIWGPヘビー級選手権試合で、第65代王者オカダ・カズチカがSANADAの挑戦を退け、10度目の防衛を達成しました。これは歴代のIWGPヘビー級の連続防衛記録でも、単独2位タイとなる大記録です。これまでの防衛記録を見てみましょう。

 【歴代IWGPヘビー級王座 連続防衛記録】

順位 王者 戴冠日 防衛
1 棚橋弘至 56 2011年1月4日 11
2 永田裕志 31 2002年4月5日 10
2 オカダ・カズチカ 65 2016年6月19日 10
4 橋本真也 16 1994年5月1日 9
5 オカダ・カズチカ 59 2013年4月7日 8
6 棚橋弘至 58 2012年6月16日 7
6 橋本真也 19 1996年4月29日 7
6 藤波辰巳 3 1988年6月24日 7
9 中邑真輔 53 2009年9月27日 6
10 佐々木健介 26 2000年1月4日 5
10 武藤敬司 24 1999年1月4日 5
10 武藤敬司 17 1995年5月3日 5
10 グレート・ムタ 13 1992年8月16日 5
14 武藤敬司 49 2008年4月27日 4
14 棚橋弘至 45 2006年7月17日 4
14 スコット・ノートン 23 1998年9月23日 4
14 橋本真也 14 1993年9月20日 4
14 長州力 12 1992年1月4日 4
14 ビッグバン・ベイダー 7 1989年8月10日 4
14 アントニオ猪木 1 1987年6月12日 4
21 オカダ・カズチカ 63 2015年7月5日 3
21 真壁刀義 54 2010年5月3日 3
21 棚橋弘至 50 2009年1月4日 3
21 ブロック・レスナー 44 2005年10月8日 3
21 高山善廣 32 2003年5月2日 3
21 佐々木健介 20 1997年8月31日 3
21 藤波辰爾 11 1991年3月4日 3
28 AJスタイルズ 60 2014年5月3日 2
28 オカダ・カズチカ 57 2012年2月12日 2
28 中邑真輔 48 2008年1月4日 2
28 永田裕志 46 2007年4月13日 2
28 佐々木健介 39 2004年10月9日 2
28 藤田和之 29 2001年4月9日 2
28 藤波辰爾 21 1998年4月4日 2
35 内藤哲也 64 2016年4月10日 1
35 AJスタイルズ 62 2015年2月11日 1
35 棚橋弘至 61 2014年10月13日 1
35 小島聡 55 2010年10月11日 1
35 棚橋弘至 52 2009年9月27日 1
35 棚橋弘至 47 2007年10月8日 1
35 天山広吉 42 2005年5月14日 1
35 小島聡 41 2005年2月20日 1
35 藤田和之 38 2004年6月5日 1
35 ボブ・サップ 37 2004年3月28日 1
35 天山広吉 35 2004年2月15日 1
35 中邑真輔 34 2003年12月9日 1
35 安田忠夫 30 2002年2月16日 1
35 佐々木健介 27 2001年1月4日 1
35 高田延彦 18 1996年1月4日 1
35 長州力 8 1990年8月19日 1
51 中西学 51 2009年5月6日 0
51 藤田和之 43 2005年7月18日 0
51 天山広吉 40 2004年12月12日 0
51 佐々木健介 36 2004年3月12日 0
51 天山広吉 33 2003年11月3日 0
51 スコット・ノートン 28 2001年3月17日 0
51 天龍源一郎 25 1999年12月10日 0
51 蝶野正洋 22 1998年8月8日 0
51 藤波辰爾 15 1994年4月4日 0
51 ビッグバン・ベイダー 10 1991年1月17日 0
51 藤波辰爾 9 1990年12月26日 0
51 長州力 6 1989年7月12日 0
51 サルマン・ハシミコフ 5 1989年5月25日 0
51 ビッグバン・ベイダー 4 1989年4月24日 0
51 藤波辰巳 2 1988年5月8日 0

 

 ご覧のように、過去に二桁防衛を成し遂げたのは、第31代王者時代の永田裕志(10回)と、歴代最多記録(11回)保持者である第56代王者時代の棚橋弘至のふたりのみです。元祖ミスターIWGP、故・橋本真也の記録(9回)も抜き去り、いよいよ本格的にオカダ・カズチカが現代のミスターIWGPと言える存在になってきました。

 また、年初の東京ドームで内藤哲也を退けた今、オカダと同格の日本人選手はもはや棚橋弘至くらいしか見当たらず、ケニー・オメガジェイ・ホワイトが奮闘しない限り、2018年中に連続防衛記録が更新される可能性は高いでしょう。しかもオカダはまだ30歳。今後5~10年は、彼がプロレス界を牽引することになるでしょう。

 

新しい「プロレス」を追求する時代に。

 文句なしに日本プロレス界の大エースとなったオカダ・カズチカ。プロレスブームも追い風となる一方で、これほどまでに一人の選手が飛び抜けた状況も史上稀なケースです。

 アントニオ猪木にはジャイアント馬場というライバルがいて、ジャンボ鶴田長州力藤波辰爾、タイガー・マスクの時代にも、新日本プロレス全日本プロレスという、交わることなき2大メジャー団体という構図が続きます。その後も新日本の闘魂三銃士橋本真也武藤敬司蝶野正洋)が活躍する一方で、全日本の四天王(三沢光晴田上明川田利明小橋建太)が無数の名勝負をつくりだし、K-1、プライドなどの格闘技ブームと、数え切れないほどの入り乱れたライバル関係が、大河ドラマのようなマット界の歴史を紡いできました。

 オカダ・カズチカは、若くして瞬く間に頂点まで上り詰め、同世代以下にはまだライバルと呼べるほどの選手が現れていない状況で、これからのIWGPの物語をどんな壮大な大河ドラマに仕上げていくのか。試合内容とドラマの両面でプロレス界を牽引していくことが求められる段階になったと思います。いわゆるメジャー団体が新日本プロレスただひとつとなった今、IWGPの物語にプロレス界の浮沈がかかっているでしょう。

 プロレス界にとっての平成という時代は、昭和のプロレスへの疑問と反抗、そして総合格闘技K-1の興隆による暗黒のトンネル、団体の乱立と分裂、最後に劇的な復活と、昭和以上の激動時代だったように思います。

「誰が一番強いんだ?」この疑問に答えるため、プロレスラーのみでなく、格闘技界全体が熱狂のうちに踊り続けた、平成という格闘技戦国時代。私は「答えなし」という答えが出たと思っています。そしてこれからは、正々堂々とど真ん中のプロレス道を追求していく時代です。言い換えれば、他競技選手との異種格闘技戦に商品価値がなくなった時代。ファンの目も成熟し、プロレスという競技へのアンチテーゼでは、もう客は呼べないでしょう。

 これからのミスターIWGPに求められるのは、プロレスのリングでプロレスラーの強さを魅せること。そしてプロレス大河ドラマの主役であること。今までの王者たちも、オカダ自身もやり続けてきたことですが、より繊細に時代にマッチした形の深堀りをしなければならないでしょう。

 ‟レインメーカーオカダ・カズチカの、今後の最多防衛記録への挑戦は、実はタイトルマッチ以上に難しい、プロレス界の新時代を切り拓くための戦いなのです。

以上です。※敬称略


Kazuchika Okada vs Sanada- New Beginning in Osaka 2018 Highlights 

 

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